思い出

ぶつける

「あなたのエネルギーはこんなもの?こんなもんじゃないだろ?持ってるエネルギーをぶつけるんだよ!」

高1の時、美術の先生に言われた言葉だ。角卓先生。角先生には中3、高1の2年間、美術の時間だけ教えていただいた。美術はどちらかというと苦手だったけれど、先生の美術の時間に作った作品を今でも思い出すことができるのは、なぜだろう。

その写生の時間、薄曇りの校庭を水彩画のようにサラサラと描いていた。結構自分の好みに仕上がった。とそこへ先生が絵をのぞきに来られた。

私の好きな方向で描けた、と思っていたから、その先生の言葉は、当時の私にはとても意外で受け入れ難かった。否定されたそのボンヤリした絵と、先生の言葉は、頭の中に貼りついた。

先生は担任でも部活顧問でもないのに、私のことをよく知らないのに、なんでそんなことが言えるの?

なぜ先生は、ああいう風におっしゃったのか。その時は全く解せなかったから、時々思い出す言葉になった。今、少しわかるのは、サラサラとその時間をやり過ごすように描いたこと。"これを描きたい"がないまま、表面的に描いたこと。

先生はそのあいまいさ、いい加減さを瞬時に見抜いて叱ってくださったのだ。いつか、否定されたと思っていた言葉が、自分への問いかけの言葉になっていた。

自分とは何か。力の限りをぶつけているか。

角先生、毎日奮闘中、と自分に言えるように、あきらめず頑張ります!

鈍刀前のページ

奇跡次のページ

PAGE TOP