つれづれ

やるせない思い

時々朝の散歩に行く駒沢公園のあちこちに、ヒマラヤ杉の群生している所があります。中でもテニスコートや軟式野球場の南側に、勝手に「ハイジの森」と呼んでいるヒマラヤ杉の林がありました。そこは、大きな大きなヒマラヤ杉が、緩やかな下り坂の両脇から深い木影を作って、真夏でも強い陽ざしからアスリートたちを守ってホッとさせてくれる場所でした。1964年のオリンピック会場となる前のゴルフ場時代、戦前からあったのだそうです。
台風15号、19号と続いた後に、朝の散歩に出かけた時のことです。大きな違和感を覚えました。
…ないのです、私の「ハイジの森」が。そこには広く明るい空が広がっていて、地面には切りそろえられた幹や枝が横たわっていました。その前の台風15号で1本の木が住宅に倒れかかったため、史上最大級の19号が来る前に大部分が伐採されてしまったのです。
確かに大きな枝々は、南側に立つマンションに届きそうでした。マンションに近い木は、全て切り株だけを残してなくなっていました。もちろん、住んでいる方やマンションは事故もなく、守られました。少し離れた木も6~7本は頭部を切られ、枝もスカスカに掃われて、本来の堂々たるヒマラヤ杉からは遠い姿になって、所在なく立っているように見えました。
それが何とも痛ましくて、その後もしばらく駒沢公園には入りませんでした。久しぶりに覚悟して行ってみましたが、冬の空が寒々と広がっていて、別の場所に来たようでした。たかが木のことなのに、このやるせない思い。

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